精神障害者保健福祉手帳を取ると決めたものの、何から手をつければいいのかわからない。そういう状態でこの記事にたどりついた方が多いのではないかと思います。
手続きの流れ自体は複雑ではありません。ただ、体調が落ちている時期に、書類をそろえて、写真を撮って、受付時間に合わせて窓口へ出向くというのは、想像以上に負担の大きい作業です。一つひとつは小さくても、まとめて背負うと重くなります。
この記事では、尼崎市で精神障害者保健福祉手帳を申請する手順を、必要書類と窓口まで含めて順番に整理しました。診断書を頼まずに済むルートや、費用を1通分減らせる方法、ご本人が動けないときに誰が代わりに手続きできるのかについても書いています。
なお、手帳を取るとどんな支援が受けられるのかについては、精神障害者保健福祉手帳のメリットとデメリット【尼崎市版】にまとめてあります。まだ申請するかどうか迷っておられる段階なら、そちらを先にご覧ください。
申請できる条件は「初診日から6か月」だけです
精神障害者保健福祉手帳を申請できるのは、精神科の初診日から6か月以上たっている方です。条件として決まっているのは、これだけです。
病名の指定はありません。うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害、発達障害、てんかんなど、幅広い精神疾患が対象になります。判断されるのは病名ではなく、日常生活や社会生活にどれくらい支障が出ているかという点です。
初診日から6か月に満たない場合は、期間が過ぎるのを待つしかありません。ただ、待っているあいだも何もできないわけではなく、自立支援医療(精神通院)であれば先に申請できます。こちらは通院の医療費が原則1割負担になる制度で、待機期間の負担を減らせます。
申請の流れは4つのステップです
全体像を先にお示しします。
| ステップ | やること | かかる時間の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 診断書の様式を入手する | 即日 |
| 2 | 主治医に診断書を書いてもらう | 数週間 |
| 3 | 写真とマイナンバーを準備する | 数日 |
| 4 | 窓口へ提出する | 当日 |
提出してから手帳が交付されるまでは、さらに数週間から2か月ほどかかります。急いで必要な事情がある場合は、早めに動き出しておかれると安心です。
ステップ1|診断書の様式を入手する
精神障害者保健福祉手帳の診断書には、決まった様式があります。一般的な診断書ではありませんので、注意してください。
様式は次の場所で手に入ります。
- 市の窓口(保健福祉センターの地域保健課、保健所疾病対策課など)
- 兵庫県の電子申請システム「e-ひょうご」からダウンロード
精神科の病院やクリニックであれば、様式を備えていることも少なくありません。まず主治医か受付の方に「手帳の診断書の用紙はありますか」と聞いてみるのが、一番早い方法です。
ステップ2|主治医に診断書を書いてもらう
診察のときに、こう伝えてください
「精神障害者保健福祉手帳の診断書をお願いします」
これだけで通じます。理由を細かく説明する必要はありません。
言い出しにくいと感じる方もおられるようですが、精神科では日常的にある依頼です。医師の側も、手帳を勧める立場にあることが多いので、身構えなくて大丈夫です。
書き上がるまでに時間がかかります
診断書はその場で書いてもらえるものではなく、数週間かかることもあります。次の診察のときに受け取る、という流れが一般的です。
急いでいる事情があるなら、依頼するときにその旨を伝えておくとよいでしょう。
費用は自己負担です
診断書の作成料は保険がきかず、全額自己負担になります。金額は医療機関によって異なりますので、依頼のときに確認しておかれると安心です。
この診断書代が、手帳を取るうえでの実質的な唯一の出費になります。
障害年金を受けている方は、診断書が要りません
すでに障害年金を受給している場合、診断書を用意しなくても申請できます。かわりに次のものを提出します。
- 障害年金証書の写し
- 直近の年金振込通知書
- 年金事務所への照会同意書
診断書代がまるごとかからないルートですので、該当する方は必ずこちらでお手続きください。窓口で「年金を受けているので、証書で申請したい」と伝えれば、必要な書類を案内してもらえます。
ステップ3|写真とマイナンバーを準備する
写真の規格
手帳に貼る写真には、細かい決まりがあります。
- サイズは縦4センチメートル、横3センチメートル
- 上半身(肩から上)
- 脱帽
- おおむね1年以内に撮影したもの
証明写真機で撮れるサイズです。パスポート用の設定に近いので、迷ったら「縦4×横3」を選んでください。
体調が優れず外出が難しい場合は、ご家族にスマートフォンで撮ってもらい、コンビニのプリントサービスで出力するという方法もあります。背景が無地で、顔がはっきり写っていれば問題ありません。
マイナンバーがわかるもの
マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーの記載のある住民票のいずれかを用意します。本人確認書類も一緒に求められることがありますので、マイナンバーカードがあれば一枚で済みます。
ステップ4|窓口へ提出する
必要書類のまとめ
診断書で申請する場合
- 申請書
- 精神障害者保健福祉手帳用の診断書(初診日から6か月以上経過したもの)
- 写真(縦4cm×横3cm、1年以内に撮影)
- マイナンバーカードなど個人番号がわかるもの
障害年金を受けている場合
- 申請書
- 障害年金証書の写し
- 直近の年金振込通知書
- 年金事務所への照会同意書
- 写真(縦4cm×横3cm、1年以内に撮影)
- マイナンバーカードなど個人番号がわかるもの
申請書は窓口に用意されています。事前に書いていく必要はありません。
提出できる窓口
尼崎市では、次のいずれでも受け付けています。
- 北部保健福祉センター 北部地域保健課
- 南部保健福祉センター 南部地域保健課
- 各地区の保健・福祉申請受付窓口
- 尼崎市保健所 疾病対策課
尼崎市保健所 疾病対策課
尼崎市七松町1丁目3番1-502号 フェスタ立花南館5階
電話:06-4869-3053
書類に不備があると出直すことになりますので、初めての方は事前に電話で確認しておくと確実です。持ち物を読み上げて確認してもらうだけでも、当日の不安がかなり減ります。
自立支援医療と同時に申請すると、診断書が1通で済みます
これから自立支援医療(精神通院)も申請しようと考えておられるなら、必ず知っておいていただきたいことがあります。
尼崎市では、手帳用の診断書1通で、精神障害者保健福祉手帳と自立支援医療の両方を申請できます。
別々に申請すると、診断書を2通書いてもらうことになり、費用も2倍かかります。同時に申請すれば、1通で済みます。通院の回数も減らせます。
窓口では、こう伝えてください。
「手帳と自立支援医療を、同時に申請したいです」
この一言だけで、診断書代が1通分浮きます。
この仕組みは、資料を読み込むまで気づきませんでした。窓口の案内にも、大きくは書かれていません。制度としては用意されているのに、知らずに別々に申請して2通分払ってしまう方がおられる。もったいない話です。
なお、自立支援医療には等級の条件がありません。手帳が3級の方も、まだ手帳をお持ちでない方も利用できます。
ご本人が動けないときは、代わりに手続きできます
申請そのものはご本人の名義で行いますが、書類の提出や手帳の受け取りまで本人が出向く必要はありません。
尼崎市では、次の方が手続きを代行できます。
- ご家族
- 医療機関の職員
- 行政書士
「本人が外出できないから、うちは無理だろう」と諦めてしまう前に、一度窓口へ電話して事情を伝えてみてください。方法は用意されています。
書類の準備そのものが負担なときは
ご家族が代わりに動ける方はいいのですが、家族に頼みたくない事情のある方もおられます。そもそも手帳のことを家族に知られたくない、という方も少なくありません。
そうした場合には、行政書士が代わりに手続きを進めることができます。障害者手帳の申請サポートとして、申請書類の作成から窓口への提出までをお引き受けするものです。
ひとつ補足しておきます。市のホームページには、代行できる人として「ご家族または医療機関の職員」までしか書かれていません。行政書士でも問題ないだろうとは思いましたが、確信が持てないまま書くわけにはいきませんでした。疾病対策課に電話をして尋ねたところ、行政書士が代行しても差し支えないという回答をいただいています。上の一覧に行政書士を加えているのは、そのためです。
ご本人もご家族も市役所へ足を運ばずに、申請を終えることができます。窓口の受付時間を気にする必要も、体調のいい日を待つ必要もありません。
念のため、できないことも書いておきます。診断書を書くのは主治医であり、等級を判定するのは兵庫県です。そこに行政書士が関われる余地はありません。書類と手続きの部分をお預かりする、というお手伝いになります。
自分で進められそうだと思われたなら、そのまま進めていただくのが一番です。この記事の手順どおりに動けば迷わず終えられるように書いたつもりですので、手が止まってしまったときにだけ思い出していただければ十分です。
交付までの期間と、その後の手続き
手帳が届くまで
申請してすぐに手帳が出るわけではありません。数週間から2か月ほどを見ておかれると安心です。
交付されると連絡があり、窓口で受け取ります。郵送ではありませんので、同居のご家族に知られたくない事情がある場合は、申請のときにその旨を伝えておくとよいでしょう。
有効期間は2年、更新は3か月前から
手帳の有効期間は2年です。更新の手続きは、有効期限が切れる3か月前から受け付けてもらえます。
更新のときも、新規申請と同じ書類が必要です。つまり診断書をもう一度書いてもらうことになります。ここが手帳の唯一といっていい手間の部分です。
うっかり期限を切らしてしまうと、その間は割引や控除が使えなくなります。期限が近づいたら、早めに動かれることをおすすめします。
鉄道割引の「記載」を確認してください
2025年4月から、精神障害者保健福祉手帳でも鉄道運賃が5割引になりました。ただし、割引を受けるには手帳に「旅客鉄道株式会社等旅客運賃減額」という記載が入っている必要があります。
2025年1月以降に新規取得または更新をした手帳には、この記載が自動的に入っています。それより前に取得した手帳には入っていません。
記載がない場合でも、更新を待つ必要はありません。手帳を持って市の窓口へ行けば、その場でスタンプを押してもらえます。診断書も手数料も要りません。
必ず交付されるとは限りません
申請すれば全員に交付されるものではなく、非該当となることもあります。
その場合も、時期を改めて再度申請できます。体調や生活の状況は変わっていくものですから、一度だめだったからといって二度と取れないわけではありません。
また、交付された等級に納得がいかない場合は、症状が重くなった時点で等級変更を申請することもできます。こちらもあらためて診断書が必要になります。
よくある質問
まとめ
- 申請できるのは、初診日から6か月以上たっている方です
- 診断書は所定の様式で、書き上がるまで数週間かかります
- 障害年金を受けている方は、診断書のかわりに年金証書の写しで申請できます
- 自立支援医療と同時に申請すれば、診断書は1通で済みます
- 窓口は保健福祉センターの地域保健課、保健所疾病対策課など複数あります
- ご家族、医療機関の職員、行政書士が手続きを代行できます
- 交付までは数週間から2か月、有効期間は2年です
- 2025年1月より前に取った手帳は、鉄道割引の記載を追加してもらってください
手続きでお困りのときは
尼崎で行政書士事務所を運営しています。
障害者手帳の申請サポートとして、申請書類の作成から窓口への提出までをお引き受けします。何をどの順番でそろえればいいのかを整理するところから、ご一緒します。
手続きというのは、元気なときにやれば何ということもない作業です。それが難しい時期があるということを、制度の側はあまり想定していないように見えます。せめて、書類の部分だけでも代わりに引き受けられればと思っています。
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参考にした主な情報源
- 尼崎市公式ホームページ「精神障害者保健福祉手帳」
- 尼崎市公式ホームページ「自立支援医療(精神通院)制度」
- 兵庫県「精神障害者に対する旅客鉄道株式会社等の旅客運賃割引について」
- 尼崎市保健所疾病対策課への電話確認(2026年8月)
※制度の内容は変更されることがあります。実際のお手続きの前に、各窓口で最新の情報をご確認ください。