放課後等デイサービスを始めたい。そう思って調べてみると、「経営者に資格は要らない」という説明が並びます。本当にそれだけで開けるのだろうかと、かえって不安になった方もいるのではないでしょうか。
学校が終わったあとに子どもが過ごす場所は、生活や活動のリズムを整えるうえで大きな意味を持ちます。保護者にとっても、仕事があるなかで子どもを受け入れてくれる場所があることは、日々の暮らし、ひいては人生を支えるものになります。
先に結論をお伝えします。経営する人自身に資格の要件はありません。そのかわり、事業所に置く職員には資格や経験の要件があり、なかでも児童発達支援管理責任者(児発管)がいなければ、指定は受けられません。
ここでは、人員配置の基準、児発管の要件、物件と設備、尼崎市で申請するときの流れを順に見ていきます。尼崎市の手引きをもとにしています。
開業に必要な資格と条件|経営者に資格は要らない
指定の要件は法人格。個人事業主では申請できない
放課後等デイサービスは児童福祉法に基づくサービスです。事業所が尼崎市内にあれば、尼崎市が指定します。指定を受けられるのは法人だけで、個人事業主のままでは申請できません。
ほかに、申請者と管理者が暴力団員等でないこと、指定基準を満たして適正な運営が見込めること、児童福祉法に定める欠格事由に当たらないことが求められます。経営者本人の資格は、この中に入っていません。
資格が要るのは、事業所に置く職員(児童指導員・保育士・児発管)
そのかわり、事業所には児童指導員や保育士、そして児童発達支援管理責任者を置かなければなりません。「資格がなくても開業できる」という説明は、あくまで経営者個人についての話です。
経営者に資格が要らないということは、福祉に関わったことがなかった人でも開業できるということです。福祉の外から来た人だからこそ、これまでとは違う視点で経営を考えられる面もあるのではないでしょうか。
多角的な視点で障害福祉を考える。それは大切なことだと考えています。
放課後等デイサービスの人員配置基準と利用定員
利用定員は10人以上|定員を超えて受け入れることはできない
放課後等デイサービスの利用定員は10人以上です。主として重症心身障害児を通わせる場合は、5人以上とされています。
児童発達支援などと組み合わせる多機能型事業所には特例があります。通所支援の事業だけを行う多機能型なら、全体の合計で10人以上。ほかの障害福祉サービスと組み合わせる場合は、合計が20人以上であれば、放課後等デイサービスの定員を5人以上にできます。
定員は、超えて受け入れてよい数ではありません。利用定員と指導訓練室の定員を超えてサービスを提供してはならない、と基準で定められています。一方で、定員を超える申し込みなどの正当な理由がない限り、利用の申し込みを断ることもできません。
子どもの安全を考えると、定員に上限があるのは仕方のないことです。一方で、子どもを受け入れる義務もあります。運営が始まれば、このバランスの難しさを感じることになるはずです。
人員配置基準は「障害児10人までは2人以上、10人超は5人ごとに1人」
主に重症心身障害児以外の子どもを受け入れる事業所では、サービス提供時間を通じて、児童指導員、保育士、障害福祉サービス経験者(2年以上従事した人)の合計を、障害児10人までは2人以上置きます。
10人を超える場合は、この2人に加えて、5人またはその端数を増すごとに1人を足した数以上が必要です。定員を大きくするほど、必要な職員も増えていきます。
半数以上は児童指導員か保育士。1人以上は常勤
この合計人数のうち、半数以上は児童指導員または保育士でなければなりません。障害福祉サービス経験者だけで人数をそろえることはできません。あわせて、1人以上は常勤である必要があります。
機能訓練を行う場合に置く機能訓練担当職員は、サービス提供時間を通じて専従で配置していれば、この合計に含めることができます。
児童発達支援管理責任者は1人以上、専任かつ常勤
児発管は1人以上で、そのうち1人以上は専任かつ常勤です。管理者は原則として管理業務に専従しますが、支障がなければほかの職務と兼ねられます。
主として重症心身障害児を受け入れる場合の人員配置
主として重症心身障害児を通わせる事業所では、人員の考え方が変わります。嘱託医、看護職員、児童指導員または保育士、機能訓練担当職員をそれぞれ1人以上、これに児童発達支援管理責任者を1人以上置きます。
児童発達支援管理責任者の要件|開業でいちばんの関門
実務経験は3通り(5年・8年・国家資格5年+3年)
児発管になるには、実務経験と研修修了の両方が必要です。実務経験は、次の3つのいずれかを満たすこととされています。
- 相談支援業務と直接支援業務が通算5年以上で、高齢者等支援業務を除いた期間が3年以上
- 直接支援業務が通算8年以上で、高齢者等支援業務を除いた期間が3年以上
- 国家資格による業務が通算5年以上で、相談支援業務と直接支援業務から高齢者等支援業務を除いた期間が3年以上
この年数は、1年あたり180日以上働いた期間で数えます。しかも、児発管に就任する時点で年数を満たしている必要があります。
研修の修了も必要|欠けた場合の経過措置は1年
実務経験を満たしたうえで、所定の研修を修了しなければなりません。求人を出せばすぐに見つかる人材ではなく、開業の時期はこの人の確保で決まる、と言ってもよいほどです。
やむを得ない事由で児発管が欠けた場合には、発生した日から1年間の経過措置があります。ただしこれは、開業するときに使えるものではありません。
児発管がいなければ、事業は始められません。そのぐらい、要となる人です。開業を考えるなら、何はなくとも、まず児発管を見つけることから始めてください。
児発管の経歴書や実務経験証明書をそろえる段階から、指定申請のサポートとしてお手伝いしています。
設備基準と物件選び|契約する前に確かめる
必要な設備は指導訓練室・相談室・事務室・手洗い設備・トイレ
設備は、訓練に必要な機械器具等を備えた指導訓練室のほか、相談室、事務室、手洗い設備、トイレなどが必要です。原則として事業専用ですが、支援に支障がなければ共用もできます。
消防署との協議状況が、申請書類として必要
申請には、消防署との協議状況がわかる書類を添えます。防火対象物使用開始届出書と消防用設備等検査済証の写しで、これらが発行される前の段階では、消防署と協議した結果をまとめたものを提出します。
物件を契約したあとで、消防設備の工事が必要だとわかるのは避けたいところです。尼崎市の手引きでも、通所支援系サービスは、事前相談より前に物件を確認する流れが示されています。
物件の候補が決まった段階から、設備基準に照らした確認をお手伝いしています。
尼崎市で指定申請をするときの流れ
事前相談は3〜5か月前。指定日は毎月1日、書類は前々月15日まで
尼崎市では、通所支援系サービスは事業開始希望日の3〜5か月前ごろから事前相談に行きます。指定日は原則として毎月1日で、申請書類は前々月の15日までに提出します。
審査には約1か月かかり、書類に不備があれば、その直しの期間も加わります。書類は正副2部をつくって窓口へ持参します。指定の有効期間は6年です。
手引きの例では、11月に開業する場合、6月に物件を確認し、7月の初期相談で設備基準・児発管の要件・消防との協議の経過を確認して、9月15日までに書類一式を提出する流れになっています。
必須の書類は26種類。支援プログラムの案も出す
提出書類一覧を見ると、放課後等デイサービスで必須とされている書類は26種類にのぼります。勤務形態一覧表、経歴書、実務経験証明書、平面図、居室等面積一覧、設備・備品等一覧表、運営規程、事業計画書、収支予算書などです。
このなかに「支援プログラム(案)」が入っています。どのような支援を、どんな考え方で行うのかを示すもので、申請の時点で用意しておく必要があります。
26種類の書類の洗い出しと作成は、指定申請のサポートとしてお引き受けしています。
開所してからも届出は続く
届け出た内容が変わったときは、変更届の提出が必要です。事業所を移転するときや、法人が変わるときは、事前に相談することとされています。指定は6年ごとに更新します。
書類は行政書士に任せ、子どもを迎える準備を
放課後等デイサービスの準備でいちばん時間をかけたいのは、どんな支援をするのかを考えることと、その支援を一緒に担う職員をそろえることです。
けれど実際には、物件を探し、消防と協議し、書類をそろえ、学校や相談支援事業所へ挨拶に回る。開業までの数か月は、これらが同時に進みます。
私が子育てをしてきたなかで、いちばん大切にしてきたのは、子どもの笑顔でした。泣いてしまう日もありましたが、笑っている姿を見たいと思いながら過ごしてきました。
ですから、子どもだけでなく、保護者にも笑顔があふれる事業所をつくってほしいと願っています。
その準備に時間を使っていただけるよう、行政書士は、事前相談に向けた準備や指定申請の書類一式の作成、定款の事業目的の確認、法人設立のサポートをお引き受けしています。
ただし、設立登記の申請は司法書士、雇用関係の助成金の申請は社会保険労務士の業務ですので、その部分はそれぞれの専門家へのご相談になります。
まとめ
- 経営者自身に資格の要件はありません。要るのは法人格です
- 利用定員は10人以上(主に重症心身障害児を受け入れる場合は5人以上)です
- 児童指導員・保育士などは、障害児10人までは2人以上、10人を超えると5人ごとに1人増えます
- その合計の半数以上は児童指導員か保育士で、1人以上は常勤です
- 児童発達支援管理責任者は1人以上、うち1人以上は専任かつ常勤です
- 児発管の実務経験は3通りあり、1年は180日以上働いた期間で数えます
- 設備は指導訓練室、相談室、事務室、手洗い設備、トイレなどが必要です
- 尼崎市では3〜5か月前から事前相談。書類は前々月15日までに提出し、必須書類は26種類です
尼崎市で放課後等デイサービスの開業を考えている方へ
尼崎で行政書士事務所を開いています。
障害福祉サービスの指定申請として、事前相談の準備から申請書類の作成までをお引き受けしています。尼崎市・西宮市を中心に、オンラインで全国からのご相談にも対応しています。指定申請と法人設立を同時にご依頼いただく場合は、割引があります。
放課後等デイサービスは、学校が終わったあとの時間を、子どもが安心して過ごせる場所です。その場所をつくろうとする方が、書類の前で立ち止まってしまうのは、もったいないことです。構想の段階でも、お問い合わせは無料ですので、お気軽にご相談ください。
まずは無料相談から
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参考にした主な情報源
- 尼崎市「指定障害児通所支援事業者等 指定申請について(てびき)」令和2年度版
- 尼崎市「指定申請に必要な提出書類一覧表(障害児通所支援)」令和7年6月版
- 尼崎市「【障害児通所支援】指定申請・更新等の届出や手続き等について」
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)
※制度の内容は変更されることがあります。尼崎市の手引きは令和2年度版のため、人員配置や報酬の取り扱いは、その後の報酬改定で変わっている場合があります。実際のお手続きの前に、事前相談で最新の基準をご確認ください。